ホリエモンが昨年2022年12月に刊行した「不老不死の研究」を読んでみた。ホリエモンはYouTubeでも、最新のアンチエイジングに関する動画やインタビューなどを結構いろいろと流している。それらは内容的にも面白くインスパイアに富んでいるので、この著書も楽しみに読んだ。
まず、大雑把な感想で言えば、勿論面白くはあるが、ややテーマが広範囲すぎるのとでは我々がどうすれば良いかについては、そこまで多くの具体的言及がないように思う。また、タイトルほどのインパクトはないかなというのが、正直な感想だ。ただ、いろんな示唆もあったので、自分なりにこれをどう活かそうかという観点から、少しまとめてみたい。
まず章立てを見てみよう。
序章:ヒトは「不老不死」の夢を見る(健康長寿のメカニズム、ミトコンドリアの役割、等)
第1章:拡張し「進化」する肉体(サイバニクス、人口冬眠、意識の機械移植、等)
第2章:「がん」なき世界(最新の新薬・治療法動向、ピロリ菌除去、便検査の重要性、等)
第3章:生活習慣病「糖尿病」「腎臓病」なき世界(糖尿病、腎臓病の怖さ、リン接種の抑制の必要性、等)
第4章:「心」は科学できる(アルツハイマー病対策の最新事情、等)
第5章:「見た目」をアップデートせよ(肝細胞、エクソソーム、テストステロン補充、オーラルケア、等)
第6章:「子づくり」を科学する(射精道、生理痛対策、等)
以上の内容の中から、あくまで筆者の視点からではあるが、自分にとって役立ちそうなものや考慮しておきたいもの、実践すべきもの、ベスト4選が下記である。従って、「人口冬眠」や、「機械に自分のデータを移す」云々は、話としては面白いが、現時点では現実味がないのでここでは割愛する。
1.腎臓ケア
筆者は知らなかったのだが、沈黙の臓器である腎臓は一度損傷すると、肝臓などとは違い修復しないそうである。腎臓の100万の糸球体は、1日24時間、150リットルの体液を濾過し、1.5リットルの尿を排出する。この尿を作る糸球体と尿細管の組み合わせをネフロンというそうだが、このネフロンは加齢ともに減り増えることはないので、「悪くさせない」守りのケアが重要とのことだ。結局その為には、規則正しい生活、減塩・脂質制限、適度な運動、適度な飲酒、禁煙などが重要という話だ。また、腎臓のケアにはリン接種のコントロールが重要で、特に食品添加物のリン酸塩の摂取には気を付けろ、とのことである。
2.ピロリ菌検査と除去
胃癌の99%はピロリ菌が原因だそうだ。これは、ご存知の方も多く既にピロリ菌検査・除去をされた方も多いと思う。そういう意味では情報として目新しくはないかもしれない。筆者もなんとなく知っていたが、胃カメラが億劫で、検査をしていなかった。ただ、この99%という数値は改めて知ると脅威的だ。胃カメラ以外にも尿などで簡単に検査できる方法もあるようなので、近々検査してみたい。そして、もしピロリ菌がいれば早速除去しようと思う。
- 徹底した糖尿病予防
今の処か筆者は糖尿病にかかってはいない。ただ、小太り気味で中性脂肪も高いので、将来かかる可能性がないわけではないと思う。予備軍まで含めると日本人男性の2割、女性の1割程度が該当し、糖尿病は「サイレントキラー」として人体を蝕む。具体的には、慢性炎症や「インスリン抵抗性」によって、筋肉分解が起こり将来のフレイルの原因にもなるそうだ。なお、長寿者にはまず糖尿病患者はいないらしい。また、結局予防にはやはり腹八分目の適切な食事と適度な運動、特に足の筋力強化が重要だそうだ。
なお、「SGLT2阻害薬」が血糖値を下げ、糖尿病治療に効果があるだけでなく、腎臓や心臓などの臓器も守ってくれるそうである。ホリエモンは会食も多いので自費で処方してもらっているらしい。この辺りも検討してみたい。
4.エクソソームの可能性
エクソソームというのは、肝細胞が出すアンチエイジングのシグナルで、小さな脂質二重幕に入ったマイクロRNAだそうだ。細胞間の遺伝情報のやり取りをエクソソームがメッセンジャーとして担い、細胞組織を若返らせるとのことである。
しかも将来的には健康な若者の良質なエクソソームを特定・複製(mRNAの複製技術で可能)して、点滴で取り込めば、老化を食い止められるかもしれないという夢のような話もあるそうだ。ただ、自由診療なので高そうではある。
その他、ベスト4には入れなかったが、次選として、癌治療の最先端の話やオーラルケア(歯並び)の重要性、便検査・腸のケアの話、射精道も、興味深かった。興味ある方は本書を読まれたらと思う。
以上のように、若干荒唐無稽な話やすぐには実現しそうもなさそうなトピックを除くと、結局ある意味、巷で言われているような常識的な生活習慣病予防的な対策しか残らない感もある。ただ、逆に言えば、常識的な予防策はそれほど重要ということであろう。
また、実際は判っていても、それを実行し継続できるかが重要である。筆者もどちらかといえば、「三日坊主タイプ」なので、何とか工夫しながら、実行・継続していきたいと思う。
それにしてもホリエモンは、このような興味ある分野に対して良く勉強してネットワークも構築し、ビジネスにもしている。大したものだと思う。
彼は予防医療普及協会NEWS 一般社団法人 予防医療普及協会 (yobolife.jp)の理事などもやっているし、ゲーテに面白い連載もしている。堀江貴文の金を使うならカラダに使え!に関する最新記事 | GOETHE (goetheweb.jp)。
ご参考まで。そしてご健康で。